column 買取業界の将来性について、詳しく解説します。

最終更新日:2024年4月1日

「買取業界には不況の波が押し寄せている」「リユース業界の倒産件数が増加している」という話を耳にして、買取業界の将来性に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

おそらくですが、フリマアプリやオークションサイトにて、個人間での不用品売買が行われるようになったことから、このような噂が流れているのだと感じています。

ですが、買取業界の市場規模は、2020年1.7兆円→2025年2兆円と増加傾向にあり、買取業界は成長を続けていることに間違いはありません。

ここでは、買取業界の将来性や、買取業界への新規参入で勝ち組になる方法について解説します。

買取業界に将来性はあるの?

不用品を現金化する買取業界は、将来性の高い、不況知らずのビジネスとして常に注目を集めています。

経済産業省が公表した「平成27年リユースの市場動向調査結果(暫定版)」によると、過去1年間における、自らが使わなくなった商品の売却・引渡し経験は…

過去1年間で利用したことはない: 60.5%
リユースショップ・中古品販売店: 19.0%
フリマアプリで売却: 2.0%

上記の結果が出ました。

このデータを元に、現職の買取店舗責任者である筆者が買取業界の将来性や可能性を書きたいと思います。

日本の退蔵率

まず、一番に注目すべきは半数以上の数値である「過去1年間で利用したことはない」というデータについてです。

この数値の信憑性は、現場にて新規のお客様と会話することで分かるのですが、お客様との会話では、これまでに買取店やフリマアプリ等でモノを売ったことがありますか?

という確認を必ず行います。

すると、多くの方が初めてとお答えされます。筆者の体感ですと3:7で初めてと回答されます。

WAKABAの他店舗データを確認しても、新規のお客様の半数以上が「初めて」となっています。

このことから、経産省発表のデータは概ね正しいと言って問題ないと思います。

では、何故これまでに売却(現金化)のご経験がないのでしょうか?

それは、日本の退蔵率から知ることができます。

退蔵率とは、使わなくなったものを売らずに自宅に保管している割合を指すのですが、ブランド品、カメラ、パソコン周辺機器、スマホ等の退蔵率は平均して70%以上もあるとされています。

日本には元々「売る」という文化が根付いておらず、頑張って稼いだお金で購入したものは壊れるまで使う、または大切に保管するという傾向にありました。

また、売ることが面倒で(理由なく面倒と感じて)価値のあるものでも、断捨離という機会に破棄してしまう方も少なくありません。

思い出のある商品は、手放すことを躊躇してしまう気持ちは痛いほど分かりますので、日本人特有の真心から退蔵率が上昇し、売却経験のない方が多いのではないでしょうか。

今後の日本において「モノを売る文化」が根付き「使わないのに保管しているのは勿体ない」という感覚が当たり前になることで、退蔵率が下がり、モノの流通量は大きく上昇することから、買取業界の将来性は十分に期待できると言えます。

フリマアプリと買取店の差別化

続いてフリマアプリについて触れていきます。

手軽に出品可能で人気のフリマアプリは、2016年頃から大きく成長しています。

代表格としてあげられるのは、株式会社メルカリが運営する「メルカリ」です。

サービス開始以降、2020年末までの累計出品数は20億品という驚きの数値となりました。

2014年末:5千万出品
2016年末:5億出品
2018年末:11億出品
2020年末:20億出品

上記のような速度で成長を続けています。

国内のユーザー数は約1,800万人。

これは累計アカウント数と考えられますので、現在進行形のアクティブユーザーではないにしても、10人に1人以上が登録している数値です。(購入のみの方も多く存在)

買取店のお客様がフリマアプリに奪われてしまっているのでは…と考えてしまうのも無理はありません。

この疑問について、ネット検索すると多くの記事がヒットしますが、結論としては奪われていません。

むしろ、フリマアプリが市場の活性化を担う形となっており、既存の買取店にも恩恵がもたらされる格好となりました。

具体的にお伝えすると、フリマアプリでは売れないモノがあり、それらは買取店に持ち込まれるという構図になっています。

フリマアプリは基本的にCtoCサービスとなっていますので、売り手も買い手も個人になります。

個人から『買いたくないもの』は、出品は出来ても、中々売れません。

それは『高額商品』や『買い手が見つかりにくいもの』です。

なぜ、フリマアプリでは高額商品が売れにくいのでしょうか…?

それはネットオークションに話を移す必要があります。

ネットオークション黎明期には、偽物や粗悪品が多く出回り、購入者が泣き寝入りするケースが多発してしまいました。

サービス提供者であるネットオークションの運営は、あくまでも個人間での問題とし、しばらくの間解決に動き出しませんでした。(これは、偽物や粗悪品を売った者から販売手数料を徴収していたためと思われます)

欲しかったものとは異なるものが送られてきた場合、個々の受け取り方次第では詐欺と捉える人もおり、クチコミ等で「ネットオークションは犯罪の温床になっている」と広まりました。

フリマアプリユーザー(購入者)の声を確認すると、後悔したことがある。という声は少なくありません。

詐欺被害まではいかなくとも、買い手が見つかりやすいように『写真や説明文を脚色する』傾向はオークションと変わらず、それを鵜呑みにしてしまった購入者が失敗したと感じてしまうようです。

このことから、フリマアプリもネットオークションと同類と考えられ「高額品はリスクを伴うため購入しない」という状況にあります。

5,000円までしか買わない、本物という保証があるなら30,000円まで、新品未使用でなければ買わない…など、ユーザーそれぞれの購入条件を設けてアプリを利用しているようです。

また、フリマアプリは、出品側のスキル(写真の撮り方や加工、説明文作成)も年々高まっており、同一商品の場合、取引実績の多い出品者に優位性があるため、高額商品でなくとも売れにくくなってきています。

以上の理由から、フリマアプリに煩わしさを感じ、売れにくいものは、即日現金化が可能な買取店に持ち込む方が増えています。

生前整理、遺品整理需要

高齢化に伴い(高齢化の推移については割愛します)生前整理や遺品整理の需要が年々高まっています。

遺品整理士認定協会なる組織もあるほどです。

GDP等の経済成長の観点で見ると、高齢化は当然マイナス要因ではありますが、事実として買取店の需要は高まり続けます。

何か特定のものを収集することが趣味な『コレクター』は数多くいらっしゃいますが、コレクターはあくまでも個人の趣味の範囲であって、家族は関知していないことが多々あります。

故人がコレクターであった場合、収集されたモノを残された家族が保管するのは、簡単なことではありません。

コレクターでなくても、音響機器、骨董品、酒類などを一定数保有していることも多く、また遺品が男性モノであった場合(例えば存在感のある腕時計など)であっても適切な環境で保管することは難しく、使うこともないため、現金化するケースが多いです。

高齢化に比例して買取店需要が高まることは、紛れもない事実であり、買取店の将来性に関わる部分でもあります。

デジタル化

買取業界はデジタル化が他業界と比べて一歩遅れをとっていると筆者は感じていますが、それでもガラケー時代と比べれば環境は大きく変化しました。

査定においては、オンライン査定という方法が誕生し、主にコミュニケーションアプリLINEを使用した、画像送信による査定がシェアを伸ばしています。

店舗に行かなくても査定価格(あくまでも暫定価格)を知ることができ、複数の買取店で相見積もりを取ることも容易になりました。

そして集客。

これまでは看板やチラシといったオフラインの集客戦略が主でしたが、地域によってはWebによる広告配信がチラシを超えることも目にするようになりました。

現場としては、本当に大きな変革です。

チラシに比べ、コスト管理や費用対効果測定が簡潔で、店舗の運営状況に合わせて広告の内容も変更できます。

まだまだ試験的な部分が多いですが、チラシと同等かそれ以上の集客方法に成長することは間違いないと思っています。

最後に

今回は買取業界の将来性について書かせていただきました。

これから充実期を迎える業界であると現場ながらに感じています。

しかし、現場の我々が注力するのは接客技術の向上のみです。

全てのサービスにおいて「ファンを増やす」というのは、重要視されている取り組みの一つですが、それはWAKABAというブランディング力ではなく、確実に現場個人の力の積み重ねでしか増やせないためです。

あなたに買ってもらいたい。
あなたに見てもらいたい。
あなたに聞いて欲しかった。

どんなに時代が進んでも、いかに将来性が高くても、この人間力がなければ絶対に成功することはありません。

フリマアプリにはない、オフラインだからこその楽しみを提供できるよう一丸となって取り組んでいきます。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。




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